日本の食品の輸出なここ10年で大きく増加しています。これは日本の食品の認知度が高まったことだけでなく、アジア各国を中心に所得があがっていることがあげられます。
この記事では食品の輸出状況や、輸出の際に注意する点などを説明していきます。
目次
農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略
農林水産物や食品の輸出額は2012年には約4,497億円だったのですが、2019年には9,121億円と7年間で倍以上になっています。この数値の大きな要因になっているのが、東南アジアなどの海外の所得が増加していることがあげられます。
所得に余裕がでたところで、日本の食品の魅力が海外にひろがっているのです。またさまざまな業種において、大きく輸出額が減っているにもかかわらず食品の輸出額がさほど落ちていないのも、日本の食品が海外で人気であることがわかります。
この流れをさらに強化しようと平成31年4月に「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」をまとめて、輸出先の地域と食品の規制に対して協議を行うなどの取り組みをしています。
「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」の目的や定義は以下のようになっています。
「第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、我が国で生産された農林水産物及び食品の輸出の促進を図るため、農林水産物・食品輸出本部の設置並びに基本方針及び実行計画の策定について定めるとともに、輸出証明書の発行等、輸出事業計画の認定その他の措置を講ずることにより、農林水産業及び食品産業の持続的な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「農林水産物」には、これを原料又は材料として製造し、又は加工したもの(次項に規定するものを除く。)であって、主務省令で定めるものを含むものとする。
2 この法律において「食品」とは、全ての飲食物(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品及び同条第九項に規定する再生医療等製品を除く。)をいう。
3 この法律において「登録認定機関」とは、第二十条第一項の規定により主務大臣の登録を受けた者をいう。」
食品を輸出するときに注意したい点
食品は他のものを輸出するよりも、注意したい点が多くなります。それでは注意したい点を説明していきます。
品目別国別で輸入する諸規制がある
国によって、また品目によって輸入する諸規制があるため輸出する前に確認をする必要があります。
例えばアメリカでは日本からの青果物に対して以下のような規制があります。
このような規制には東京電力福島第一原子力発電所事故の影響などさまざまな理由があります。
「日本からの青果物については、米国における未加工の青果物の輸入検疫機関である米国農務省(USDA)の動植物検査局(APHIS)が事前に許可したうんしゅうみかん、日本なし、かき、ながいも、りんご、イチゴ、などの品目に限り輸入が可能です。輸入が可能な青果物およびそれに関する規則は、APHISのウェブサイト上のデータベース(FAVIR:「米国に輸入できる未加工の青果物のデータベース」)で確認することができます。」
引用:JETRO
輸出免税
輸出は関税がかからないだけでなく、消費税が免除となります。国内でかかった費用の消費税を免除にするためには、税務署長に申請をする必要があります。
直接貿易と間接貿易
輸出に必要な手続きをすべて自社で行う方法と、手続きはすべて専門家に依頼する方法があります。仲介手数料は必要ですが、実績十分の業者に依頼することによりトラブルを減らすことができます。
日本の食品輸出額
単位:億円
区分 | 2020年 | 2019年 | 2020年/2019年増減率(%) |
農林水産物 | 9,257 | 9,121 | 対前年同期比 +1.5% |
農産物 | 6,562 | 5,878 | 対前年同期比 +11.5% |
林産物 | 429 | 370 | 対前年同期比 +15.8% |
水産物 | 2,276 | 2,873 | 対前年同期比 ▲20.8% |
総額 | 684,005 | 769,317 | 対前年同期比 +11.1% |
引用:農林水産省
2020年輸出先
・ 1位 香港
・ 2位 中国
・ 3位 アメリカ
参考:農林水産省
2012年からの農林水産物や食品の輸出額のうつりかわりです。2012年から2018年まで急激に増えていたのですが、2019年から数値は変わらない状態です。しかし新型ウイルスコロナの影響で、全体的に輸出入が減少している中で数値が落ちていない、むしろ増えている状態なのです。
いかに日本の農林水産物や食品の評価が高いかわかります。
引用:農林水産省
農林水産物の輸出は以下のように安定して伸びていることがわかります。特に2012年以降は急激に増えています。特に日本の農産物が世界で認められているのがわかります。
引用:農林水産省